114D34

20歳の男性。高身長および長い手指を指摘されて受診した。1週前に感冒様症状があり自宅近くの診療所を受診した際に、高身長や長い手指を指摘され、専門の医療機関を受診するよう勧められた。中学時からバレーボール部の選手として活躍している。喫煙歴および飲酒歴はない。父親が34歳で突然死している。15歳の妹も高身長である。意識は清明。身長190cm、体重75kg。脈拍80/分、整。血圧132/72mmHg。手足は長く、クモ状手指を認める。胸骨左縁第3肋間を最強点とするII/VIの拡張期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球424万、Hb 13.5g/dL、白血球6,800、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.3g/dL、AST 21U/L、ALT 21U/L、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL。心エコー検査で大動脈基部径の軽度の拡大と大動脈弁逆流とを認める。左室駆出率は60%。胸腹部造影CTでは、大動脈基部の拡大以外の異常所見を認めない。眼科受診で水晶体亜脱臼を認めた。

この患者への説明として適切なのはどれか。

「内分泌異常が原因となる疾患です」
「競技スポーツ参加を制限する必要はありません」
「今後、大血管病変が進行する可能性もあります」
「高身長の妹が同じ疾患に罹患している可能性はありません」
「アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬の内服は禁忌です」

解答: c

114D34の解説

高身長、長い手足と手指(クモ状手指)、家族歴、水晶体亜脱臼、などキーワードが多々盛り込まれており、Marfan症候群の診断は容易である。胸骨左縁第3肋間を最強点とする拡張期雑音は大動脈弁閉鎖不全症〈AR〉を考えさせる。心エコー検査の結果と合わせ、大動脈弁輪拡張症〈AAE〉に起因するARと思われる。
a 遺伝子異常が原因となる結合組織疾患である。
b AAE/ARがみられており、競技スポーツは制限する必要あり。
c 正しい。Marfan症候群には大動脈解離や大動脈瘤といった致死的な大血管病変を合併する。
d 常染色体優性遺伝〈AD〉する疾患であり、妹にも可能性が高い。
e ACE阻害薬には心血管病変の進行予防効果がある。禁忌ではなく、むしろ有用。

正答率:98%

テーマ:Marfan症候群の患者への説明

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