114B44

家族への病歴聴取や身体診察、検査を行った結果、以下の結果が得られた。

現病歴:作業に出かけるまでは、特に普段と変わりがなかった。朝食も普段通り摂取していた。家族が様子を見に行った際には、ビニールハウスの中はかなり暑くなっていた。

既往歴:50歳時から2型糖尿病と高血圧症で通院して投薬を受けている。

生活歴:喫煙は20本/日を40年間。飲酒はビール350mL/日を40年間。

家族歴:父が心筋梗塞。

現 症:意識レベルはJCS III-200。体温39.0℃。心拍数138/分、整。血圧84/46mmHg。呼吸数18/分。SpO2 99%(鼻カニューラ3L/分酸素投与下)。瞳孔は両側3mmで対光反射は両側とも迅速。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥している。頸部リンパ節は触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。腱反射に異常を認めない。

検査所見:尿所見:蛋白1+、糖(−)、ケトン体(−)。血液所見:赤血球610万、Hb 17.2g/dL、Ht 60%、白血球10,800(分葉核好中球80%、好酸球1%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球10%)、血小板42万。血液生化学所見:総蛋白9.0g/dL、アルブミン5.2g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 20U/L、ALT 13U/L、LD 350U/L(基準120〜245)、尿素窒素53mg/dL、クレアチニン1.8mg/dL、血糖153mg/dL、Na 166mEq/L、K 4.8mEq/L、Cl 120mEq/L。CRP 0.2mg/dL。

まず投与すべきなのはどれか

抗菌薬
昇圧薬
NSAID
生理食塩液
副腎皮質ステロイド

解答: d

114B44の解説

「ビニールハウスの中はかなり暑くなっていた」という記載からはやはり熱中症と考えられる。Naが高値であり、脱水所見もあることから、高張性脱水を呈している。
a 細菌感染に有効。
b 血圧低下がみられているも、これは循環血液量減少によるものであり、輸液によりvolumeを増やすことで対処すべきだ。
c 熱中症に対する一般的な治療ではない。
d 正しい。熱中症による脱水に対し、循環血液量を増やす対処が必要。生理食塩水やリンゲル液の輸液がfirstとなる。
e 熱中症に対する一般的な治療ではない。

正答率:98%

テーマ:【長文2/2】熱中症患者に投与すべきもの

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