114A40

33歳の男性。下痢を主訴に来院した。2週間東南アジアを観光旅行し、2日前に帰国した。帰国日から水様下痢が出現し、昨日から38℃台の発熱が出現したため受診した。悪心はあるが、嘔吐はない。体温38.3℃。脈拍92/分、整。血圧120/78mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音が亢進している。腹部全体に軽度の圧痛を認めるが、反跳痛は認めない。皮疹は認めない。

診断を確定するための検査で最も適切なのはどれか。

腹部造影CT
便のGram染色
腹部超音波検査
便の抗酸菌染色
便のClostridioides difficile毒素

解答: b

114A40の解説

下痢を主訴に来院した33歳男性。2週前に東南アジアを旅行し、その後から発熱と水様下痢を認めている。旅行者下痢症を考える。東南アジア旅行による旅行者下痢症としては、頻度的に毒素原性大腸菌〈ETEC〉や赤痢菌、カンピロバクター、サルモネラが候補に挙がる。潜伏期や症状からはカンピロバクターが考えやすいだろうか。
a 画像では腸管の浮腫像を認めるかもしれないが、特異的な所見は認めないため確定診断には至らない。
b 正しい。上記のような病原体同定に最も有用である。
c 腹部超音波検査では腸管の浮腫像はみられるかもしれないが、特異的な所見ではないため確定診断には至らない。
d 抗酸菌に限定しては腸結核の有無しかわからない。
e 偽膜性腸炎の原因菌であり、他の菌であった場合確定診断に至らない。

正答率:95%

テーマ:旅行者下痢症の確定診断に有用な検査

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