114A35

67歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。玄関先で倒れているところを妻が発見し、救急車を要請した。4日前にろれつの回らない状態が出現したが翌日には軽快していた。2日前の夕方から38℃台の発熱があった。昨日には再びろれつの回らない状態が出現した。脳梗塞の既往はない。意識レベルはGCS 11(E3V3M5)。身長170cm、体重68kg。体温38.2℃。心拍数88/分、整。血圧112/78mmHg。眼瞼結膜は貧血様、眼球結膜に黄染を認める。四肢に紫斑を認める。血液所見:赤血球214万、Hb 6.5g/dL、Ht 20%、白血球7,400、血小板0.4万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.7g/dL、総ビリルビン3.9mg/dL、直接ビリルビン0.5mg/dL、AST 59U/L、ALT 29U/L、LD 2,350U/L(基準120〜245)、ALP 216U/L(基準115〜359)、尿素窒素40mg/dL、クレアチニン2.8mg/dL、尿酸19.2mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 101mEq/L。頭部MRIでは急性期の微細な多発性脳梗塞を指摘された。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。

この患者の診断を確定するために最も重要な検査項目はどれか。

FDP
PT-INR
出血時間
ハプトグロビン
ADAMTS-13活性

解答: e

114A35の解説

意識障害のため救急搬送された67歳男性。4日前にも同様の症状があり、脳梗塞の既往がないものの頭部MRIでは多発性脳梗塞を指摘された。黄疸を伴う貧血と、間接ビリルビンの上昇を認めることから溶血性貧血であると考える。血管内に血栓を形成するため、脳梗塞を生じたり消耗性に血小板が低下したりする。血栓性血小板減少性紫斑病〈TTP〉の診断である。画像では破砕赤血球を認める。
a 血栓を作っているのでFDPが異常を呈する可能性はあるが、確定診断には至らない。
b 血栓形成により凝固系が異常を呈する可能性はあるが確定診断には至らない。
c 血小板が著減しているため出血傾向となりえるが、確定診断には至らない。
d ハプトグロビンは溶血のため消耗性に低下していると考えられるが、確定診断には至らない。
e 正しい。TTPはADAMTS-13活性の低下によって起こる疾患である。確定疾患に有用である。

正答率:95%

テーマ:血栓性血小板減少性紫斑病〈TTP〉の検査

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