114A24

18歳の男性。発熱、嘔吐および下痢を主訴に来院した。1週前に自宅で熱湯により、前腕に水疱を伴う熱傷を負った。自宅近くの診療所で軟膏を処方され様子をみていたが、本日になり発熱、嘔吐および褐色でやや粘度のある下痢が出現したため、家族に付き添われて受診した。意識レベルはJCS I-2。身長165cm、体重56kg。体温39.0℃。脈拍数112/分、整。血圧80/40mmHg。呼吸数24/分。SpO2 99%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。全身に紅斑を認める。熱傷部はびらんとなっている。血液所見:赤血球420万、Hb 13.2g/dL、Ht 42%、網赤血球1.2%、白血球9,300(桿状核好中球30%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板25万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 28U/L、ALT 18U/L、LD 178U/L(基準120〜245)、ALP 120U/L(基準115〜359)、γ-GT 9U/L(基準8〜50)、CK 46U/L(基準30〜140)、尿素窒素40mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL、Na 131mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 4.4mg/dL。

原因微生物として最も考えられるのはどれか。

大腸菌
緑膿菌
カンジダ
肺炎球菌
黄色ブドウ球菌

解答: e

114A24の解説

発熱と嘔吐、下痢を主訴に来院した18歳男性。意識レベル低下と血圧低下、呼吸数上昇を認め敗血症性ショックの状態である。1週前に熱傷を負ったとの記載から、傷口から感染し全身へ巡ったと考えられる。
a 大腸菌は尿路感染症の原因菌となりやすい。
b 緑膿菌は人工呼吸器感染装着や免疫低下といった基礎疾患のある患者に対して肺炎をおこしやすい。
c カンジダは皮膚や消化管、膣の常在菌であるが、創部からの感染は起こしにくい。
d 肺炎球菌はその名の通り肺炎の原因菌となるが、皮膚からの感染はきたしにくい。
e 正しい。熱傷は皮膚の傷であるから、皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌が起因菌として最も考えやすい。

正答率:87%

テーマ:熱傷を契機に出現したtoxic shock症候群の原因菌

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