114A21

78歳の男性。皮下出血を主訴に来院した。1週前に誘因なく左上肢に皮下出血が出現し、その2日後には右上肢、そして今朝目が覚めると両側大腿部にも広範な皮下出血が出現した。労作時息切れもあり家族に付き添われて受診した。意識は清明。身長168cm、体重58kg。体温36.3℃。脈拍104/分、整。血圧130/80mmHg。呼吸数24/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜は貧血様である。表在リンパ節を触知しない。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢と側腹部に広範な紫斑を認める。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球284万、Hb 8.6g/dL、Ht 25%、白血球4,200(分葉核好中球66%、好酸球5%、好塩基球1%、単球13%、リンパ球15%)、血小板32万。PT-INR 1.1(基準0.9〜1.1)、APTT 72.2秒(基準対照32.2)。

診断に有用な検査はどれか。

骨髄穿刺
皮膚生検
Coombs試験
抗血小板抗体の測定
第VIII因子活性の測定

解答: e

114A21の解説

皮下出血を主訴に来院した78歳男性。貧血をきたしており、その代償として収縮期雑音を聴取する。血小板やPT-INRは基準値内であるがAPTTが延長している。高齢初発の内因系のみのトラブルといえば、後天性血友病である。
a 貧血はあるものの、白血球数と血小板数は正常であり悪性腫瘍は考えにくい。骨髄穿刺から得られる情報はほぼないため不要である。
b 出血傾向の状態で皮膚生検をしては止血困難となる。★禁忌★
c Coombs試験は自己免疫性溶血性貧血の検査である。
d 血小板数は正常であり、有用ではない。
e 正しい。後天性血友病では第VIII因子活性が低下する。

正答率:94%

テーマ:後天性血友病の診断に有用な検査

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