114A20

24歳の女性。頭痛と発熱のため3日前から入院中である。2週前から微熱と多発関節痛を自覚していた。3日前に38℃台の発熱と頭痛が出現したため受診し、同日入院した。入院時、身長160cm、体重48kg。体温38.3℃。脈拍92/分、整。血圧126/74mmHg。呼吸数18/分。頬部紅斑、無痛性の口腔内潰瘍を認める。両手関節、両膝関節に圧痛を認める。血液所見:赤血球326万、Hb 10.4g/dL、Ht 28%、白血球2,600(桿状核好中球70%、分葉核好中球12%、好酸球2%、リンパ球16%)、血小板23万。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗CCP抗体陰性、抗核抗体陽性、抗dsDNA抗体134IU/mL(基準12以下)、抗Sm抗体陽性。抗β2GPI抗体陰性、抗カルジオリピン抗体陰性、ループス抗凝固因子陰性。入院2日目から見当識障害を認め、その後せん妄状態となった。脳脊髄液所見:無色、水様透明。初圧130mmH2O(基準70〜170)。細胞数52/mm3(基準0〜2)(多核球20%、単核球80%)。蛋白87mg/dL(基準15〜45)、糖48mg/dL(基準50〜75)。頭部MRIで異常を認めない。

この患者の治療で副腎皮質ステロイドと併用する薬剤として適切なのはどれか。

コルヒチン
抗TNF-α抗体
メトトレキサート
抗IL-6受容体抗体
シクロフォスファミド

解答: e

114A20の解説

頭痛と発熱のため入院中の若年女性。2週前から微熱と多発関節痛を認め、血液検査では血球は減少傾向である。抗核抗体と抗Sm抗体陽性で抗dsDNA抗体が上昇していることから全身性エリテマトーデス〈SLE〉の診断となる。更に、見当識障害が出現し、脳脊髄液中の細胞数と蛋白が増加していることから髄膜炎を合併しCNSループスの状態と考える。
a コルヒチンは痛風発作やBehçet病の治療薬である。
b 抗TNF-α抗体は関節リウマチやCrohn病といった慢性炎症性疾患に用いられる。
c メトトレキサート〈MTX〉を用いる代表的な疾患は関節リウマチである。
d 抗IL-6受容体抗体は、関節リウマチや若年性特発性関節炎で使用する。
e 正しい。シクロフォスファミドは免疫抑制薬で、SLEの重症例に対してステロイドと併用する。

正答率:73%

テーマ:CNSループスで副腎皮質ステロイドと併用する薬剤

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