113F60

妊娠34週1日の初妊婦(1妊0産)。胎動減少を主訴に来院した。2日前の妊婦健診では特に異常は指摘されなかったが、昨日から胎動の減少を自覚しており、心配になって受診した。下腹部痛や子宮収縮の自覚はなく、性器出血や破水感の訴えもない。脈拍72/分、整。血圧124/72mmHg。呼吸数18/分。来院後に施行した胎児心拍数陣痛図を別に示す。

胎児の状態を評価するためにまず測定すべきなのはどれか。

羊水指数〈AFI〉
母体不規則抗体価
羊水中ビリルビン濃度
胎児中大脳動脈血流速度
母体血中ヘモグロビンF濃度

解答: d

113F60の解説

妊娠34週の初妊婦の胎動減少。胎児心拍数陣痛図ではサイヌソイダルパターン〈sinusoidal pattern〉がみられている。胎児の貧血を疑う所見だ。
a 羊水の過多・過少とは関係ない。
b Rh(−)の経産婦であれば抗D抗体を所持している可能性があるが、今回は初産婦であり不規則抗体を確認する必要性は低い。
c 溶血により羊水中のビリルビン濃度が高値を示す。しかしながら、今貧血の原因が溶血と断ずることはできず、まず実施すべき検査とは言い難い。
d 正しい。胎児貧血では中大脳動脈血流速度が上昇する。サイヌソイダルパターンにこの所見を加えることで、胎児貧血の存在がより確からしいものとなる。貧血を呈した原因はその後に精査していく。
e 母児間輸血症候群で陽性となる。が、dにも示したように、現時点でこの疾患単独を狙い撃ちするのは早計。

正答率:94%

テーマ:サイヌソイダルパターンを呈した胎児の状態評価に測定すべきもの

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