113E46

次の文を読み、46、47の問いに答えよ。

72歳の男性。左下肢痛を主訴に来院した。

現病歴:2年前から500m程度歩行すると両側下腿に疼痛が出現し、1か月前からは100m程度の歩行で両側下腿の疼痛を自覚するようになった。しばらく立ち止まってじっとしていると疼痛は軽快するが、足先に冷感としびれが残っていた。昨日、急に左足趾尖の安静時疼痛が出現し、我慢できなくなったため受診した。

既往歴:15年前から高血圧症と脂質異常症のため医療機関にかかっていた。投薬を受けていた時期もあるが、60歳の退職後は受診が滞っていた。

生活歴:妻と2人暮らし。摂食、排泄および更衣は自立している。喫煙は20本/日を43年間。飲酒は機会飲酒。

現 症:意識は清明。身長168cm、体重75kg。体温36.3℃。脈拍76/分、整。血圧156/88mmHg(右上肢)。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。頸部と胸腹部に血管雑音を聴取しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右足に色調変化はないが、左足は暗赤色に変色している。右の後脛骨動脈は触知するが、左では触知しない。

外来で足関節上腕血圧比〈ABI〉を測定するために四肢の収縮期血圧を測定した。

この患者の測定値と考えられるのはどれか。

上肢血圧 下肢血圧
156 158 162 136
156 158 162 110
156 158 162 48
156 158 110 110
156 158 110 48
(単位mmHg)

解答: e

113E46の解説

左下肢痛及び間欠性跛行を主訴に来院した72歳男性。喫煙歴と左後脛骨動脈を触知しないことや色調が変化していることから血管性の間欠性跛行と分かる。閉塞性動脈硬化症〈ASO〉と閉塞性血栓性血管炎〈TAO〉が有名だが、高齢男性でありASOが考えやすい。安静時疼痛を認めることからFontaine分類III度以上である。
a〜e 2年前の疼痛は両側性であるので、両側性に血圧が低下していると考える。また、左下肢のみ色調が変化しているので、左の方がより重症である。これらを満たす選択肢はeである。

正答率:56%

テーマ:【長文1/2】閉塞性動脈硬化症〈ASO〉患者の上肢と下肢血圧

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