113E-46について、113回全問解説講座においてほずみん先生は、血管が狭窄すると血流量が低下するため血圧は低下する、というような解説をされていました。
一方、2018テストゼミ①基礎篇 第4回 免疫 問題74(98B-15)の解説においてほずみん先生は、血管が狭窄すると血管抵抗が上昇するため血圧は上昇する、という解説をされていました。
ASOと高安動脈炎という違いがありますが、説明に統一感がないと感じます。こちらになにか見落とし勘違いがあるかもしれません。ご教授いただけましたら幸いです。
質問拝見いたしました。
穂澄先生にもぜひ伺いたいですが, 私なりの考察を述べさせていただきます。
血管の狭窄部より近位(心臓に近い側)での血圧測定であれば, 血圧は上昇し,
一方, 狭窄部位より遠位(心臓より遠い側)での血圧測定では, 血流量が落ちるため血圧は低下するはずです。
113E46では, 後脛骨動脈を左で触知しないくらいですから, 同部位で測定する下肢血圧は四肢のうち最も低下してるはずで,
血流低下が起こっていれば, 血圧が低下するという先生の解説に矛盾はないと思います。
一方で98B15ですが, 高安動脈炎による腎血管性高血圧が起こっているはずなので,
この患者の血圧のベースは二次性高血圧となっているはずです。(主訴の頭痛をきたすほど)
左上肢(160/96mmHg)と腎血管性高血圧のため血圧が上昇していることを確認します。
一方で右上肢(134/104mmHg)からは右上肢の血流低下をs/o, 高安動脈炎による右鎖骨下動脈の狭窄を考えます。
以上より, 私は, 病変部位は実は右側なのではないかと考えます。
他の高安動脈炎の過去問を検索してみても,
左右差を呈する場合, 基本的に患側上肢の血圧は低下しているようです。
p.s.
以上の考察は, 今までに穂澄先生に教えていただいた知識をフルに動員して考えました。
なぜ右上肢で左上肢よりも拡張期血圧が上昇しているのかが気になるところですが,
収縮期に血流が流れにくいので拡張期に流れているのでは?
(収縮期に大血管にプールされた血流が、拡張期に後負荷の少ない方により多く流れているのではないか)
と考えました。
丁寧な返信ありがとうございました。
> 血流低下が起こっていれば、血圧が低下するという先生の解説に矛盾はないと思います。
経験則:【血圧】=【血管抵抗】×【血流量】 ………★
によると、【血流量】が低下していても【血管抵抗】が激しく上昇していた場合、【血圧】が上昇する、という結論も導けてしまうんですよね。ただし、
狭窄部位ちょうどにおいては【血管抵抗】は上昇している
狭窄部位より遠位では【血管抵抗】は正常(~やや上昇している)
とでも解釈すれば、狭窄部位よりも遠位では【血流量】が低下することと合わせて★より
狭窄部位よりも遠位では【血圧】が低下する
が導けます。結局、poko1429531さんが仰るように
> 血管の狭窄部より近位(心臓に近い側)での血圧測定であれば、血圧は上昇し、
> 狭窄部位より遠位(心臓より遠い側)での血圧測定では、血流量が落ちるため血圧は低下する
と理解していいのだと思います。
> 左上肢(160/96mmHg)と腎血管性高血圧のため血圧が上昇していることを確認します。
> 一方で右上肢(134/104mmHg)からは右上肢の血流低下をs/o、高安動脈炎による右鎖骨下動脈の狭窄を考えます。
> 以上より、私は、病変部位は実は右側なのではないかと考えます。
私も同意です。しかし、上記テストゼミ動画では左側が狭窄と仰っていました。
ほずみん先生の見解をお聞きしたいところです。
> なぜ右上肢で左上肢よりも拡張期血圧が上昇しているのかが気になるところですが、
拡張期血圧の議論は収縮期血圧の議論ほど単純化できなさそうですね。ただ、ここまで深く潜り込んで
勉強していることを素直にすごいと思いました(自分はスルーしていましたから)。
ざっと議論を追わせてもらいましたが、いい感じですね!
内容面でも同意です。
たしかに98B-15は右の狭窄なのかもしれません!
111F28で片側性のPADがでていてちょっと調べていたら、ABI>1.4でも間欠性跛行の頻度が上昇してるのでたしかに測定部位が変わったら(狭窄部より近位か遠位か)ABIが上下するとかありそうですね。あんまりそのあたりの測定についての血圧測定の議論はなくて、「血圧以外の疼痛の原因があるのでは?」limitations in our own understanding of pain-processing pathways.みたいな方向性の議論が書いてありましたが……
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4285459/figure/F2/
ログインするとコメントを投稿することができます。
次の文を読み、46、47の問いに答えよ。
72歳の男性。左下肢痛を主訴に来院した。
現病歴:2年前から500m程度歩行すると両側下腿に疼痛が出現し、1か月前からは100m程度の歩行で両側下腿の疼痛を自覚するようになった。しばらく立ち止まってじっとしていると疼痛は軽快するが、足先に冷感としびれが残っていた。昨日、急に左足趾尖の安静時疼痛が出現し、我慢できなくなったため受診した。
既往歴:15年前から高血圧症と脂質異常症のため医療機関にかかっていた。投薬を受けていた時期もあるが、60歳の退職後は受診が滞っていた。
生活歴:妻と2人暮らし。摂食、排泄および更衣は自立している。喫煙は20本/日を43年間。飲酒は機会飲酒。
現 症:意識は清明。身長168cm、体重75kg。体温36.3℃。脈拍76/分、整。血圧156/88mmHg(右上肢)。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。頸部と胸腹部に血管雑音を聴取しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右足に色調変化はないが、左足は暗赤色に変色している。右の後脛骨動脈は触知するが、左では触知しない。
外来で足関節上腕血圧比〈ABI〉を測定するために四肢の収縮期血圧を測定した。
この患者の測定値と考えられるのはどれか。
上肢血圧 | 下肢血圧 | |||
右 | 左 | 右 | 左 | |
a | 156 | 158 | 162 | 136 |
b | 156 | 158 | 162 | 110 |
c | 156 | 158 | 162 | 48 |
d | 156 | 158 | 110 | 110 |
e | 156 | 158 | 110 | 48 |
(単位mmHg) |