113D74

69歳の女性。右下肢痛のため救急車で搬入された。1か月前から38℃前後の発熱が続いていた。市販の感冒薬を内服したが解熱しなかった。本日、1時間前に突然、右下肢の疼痛と色調変化が出現したため、救急車を要請した。搬入時、意識は清明。体温37.6℃。心拍数96/分、整。血圧152/70mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。心音は心尖部にIV/VIの全収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。右大腿動脈は触知せず、右下腿の感覚は減弱している。右下腿は左側に比較し白色調を呈している。血液所見:赤血球437万、Hb 12.5g/dL、Ht 37%、白血球21,700、血小板7万、血漿フィブリノゲン422mg/dL(基準200~400)、Dダイマー4.2μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:AST 16U/L、ALT 22U/L、CK 222U/L(基準30~140)、LD 357U/L(基準176~353)。CRP 24mg/dL。骨盤部造影CTで右大腿動脈に閉塞を認めた。

原因を特定するために行うべき検査はどれか。2つ選べ

血液培養
腰椎穿刺
腰椎MRI
下肢静脈造影
心エコー検査

解答: a,e

113D74の解説

右下肢痛のため救急車で搬入された69歳の女性。発熱と炎症反応の高度上昇から感染が疑われる。それに加え心尖部に全収縮期雑音を聴取しており、感染性心内膜炎〈IE〉による弁破壊が考えやすい。右大腿動脈を触知しないのは、疣贅が飛んだことで動脈塞栓を呈したのであろう。
a 正しい。原因菌の同定と、抗菌薬の感受性を確認できる。
b 髄膜炎やくも膜下出血〈SAH〉に有効。
c 間欠性跛行をみる患者では血管性と神経性との鑑別を行う、という頻出パターンがある。それに準じた当て馬選択肢なのかもしれないが、本問では「IEからの動脈塞栓」というテーマが明らかである以上、腰椎MRIを撮像する意味はない。
d 動脈塞栓が問題となっている。静脈を造影する意義はない。
e 正しい。心エコー検査にて疣贅の有無を確認する。

正答率:91%

テーマ:感染性心内膜炎〈IE〉の検査

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