113D69

62歳の男性。腹部膨満感と褐色尿を主訴に来院した。1か月前から腹部膨満感と時々、尿の色が濃くなることを自覚していた。飲酒は機会飲酒で、薬剤の服用はない。身長169cm、体重62kg。体温36.1℃。脈拍68/分、整。血圧134/86mmHg。呼吸数14/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ウロビリノゲン(±)、潜血(±)。血液所見:赤血球428万、Hb 14.5g/dL、Ht 47%、白血球9,300、血小板20万。血液生化学所見:アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン1.3mg/dL、直接ビリルビン0.9mg/dL、AST 98U/L、ALT 106U/L、ALP 492U/L(基準115~359)、γ-GTP 92U/L(基準8~50)、アミラーゼ58U/L(基準37~160)、クレアチニン0.6mg/dL。CRP 1.1mg/dL。腹部超音波検査で異常を認めない。上部消化管内視鏡像を別に示す。

まず行うべきなのはどれか。2つ選べ

生検
利胆薬投与
内視鏡的乳頭切開術
経皮的胆道ドレナージ
磁気共鳴胆管膵管撮像〈MRCP〉

解答: a,e

113D69の解説

62歳男性の腹部膨満感と褐色尿。「時々、尿の色が濃くなる」という訴えからはビリルビン尿が考えやすい。が、直接ビリルビン0.9mg/dLと上昇していないのは奇異だ(ALPとγ-GTP上昇はあるため、胆道系障害はありそうなのだが)。上部消化管内視鏡像では十二指腸のVater乳頭部が提示されており、ここが腫大し、出血がみられている。十二指腸乳頭部癌である。十二指腸乳頭部癌では動揺性の黄疸をみるのがポイント。そのため、「時々」黄疸が出ることはあるも、常時血中ビリルビンの値が高いわけではない。
a 正しい。特に生検が禁忌となっているような種類の癌ではない。病理像を得ることで確定診断につながる。
b 胆汁産生がうまくいっていないわけではない。むしろ今、癌によるVater乳頭部の閉塞があるわけで、利胆薬で胆汁産生をupさせても意味がない。
c 胆石を排出させるための方法。
d 胆嚢管合流部位より肝側の閉塞に対して有効。
e 正しい。病変の広がりを評価することができる。

正答率:49%

テーマ:十二指腸乳頭部癌にまず行うこと

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