113D68

60歳の女性。1か月前から37℃台の微熱があり、1週間前に頸部のしこりに気付いた。2日前から背部、前胸部に紅斑が出現し、38℃台の発熱、倦怠感が強くなり、食事摂取もできなくなったため家族に連れられて来院した。家族歴は、母親が血液疾患のため60歳で死亡。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。

この患者が有していると考えられる疾患の原因ウイルスについて正しいのはどれか。2つ選べ

抗ウイルス薬が有効である。
母乳感染によることが多い。
献血で発見されることがある。
妊娠中に感染すると児に聴力低下を高率に起こす。
妊娠中に感染が判明したら、出産後にガンマグロブリン注射を行う。

解答: b,c

113D68の解説

中高年女性の持続する微熱と頸部のしこり。母親が血液疾患のため60歳で死亡しており、遺伝性疾患や垂直感染する血液疾患を疑う。画像ではflower cellがみられ、成人T細胞白血病〈ATL〉の診断となる。ATLの原因ウイルスであるHTLV-1は母乳感染するため、母親から感染したのだろう。
a HTLV-1には抗ウイルス薬もワクチンも存在しない。
b 正しい。上記の通り。
c 正しい。献血で指摘され気づかれることがある。
d 児に聴力低下を高率に起こす病原体としては、風疹ウイルスやサイトメガロウイルスが有名。
e 原則として妊娠中には児に感染しない。また、ガンマグロブリン注射も行われない。母乳哺育を回避することが唯一の予防策だ。

正答率:87%

テーマ:HTLV-1について

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