113D70

78歳の男性。背部痛、食欲不振と体重減少を主訴に来院した。3か月前から時々食後の背部痛を自覚していた。最近になり食後頻回に背部痛を認め、痛みは鈍痛で時に持続して眠れないことがあった。食欲も徐々に減衰した。体重は6か月で7kg減少し、起き上がれないこともあるため受診した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は20本/日を40年間。飲酒は日本酒2合/日を40年間。80歳の妻と2人暮らし。家族歴に特記すべきことはない。身長168cm、体重48kg。脈拍72/分、整。血圧126/60mmHg。呼吸数14/分。眼瞼結膜に軽度の貧血を認める。眼球結膜に異常を認めない。上腹部正中に径3cmの辺縁不整の腫瘤を触知する。血液所見:赤血球275万、Hb 7.8g/dL、Ht 24%、白血球9,800、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白5.2g/dL、アルブミン1.9g/dL、総ビリルビン0.4mg/dL、AST 34U/L、ALT 40U/L、γ-GTP 24U/L(基準8~50)、尿素窒素9mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL、総コレステロール110mg/dL、トリグリセリド48mg/dL。CEA 16.4ng/mL(基準5以下)、CA19-9 580U/mL(基準37以下)。CRP 2.0mg/dL。胸部エックス線写真と胸部CTで径1cmの腫瘤を右肺に2か所、左肺に1か所認める。腹部超音波検査および腹部CTで膵体部に径3cmの腫瘤、肝両葉に径1~2cmの多発する腫瘤陰影、胆嚢に径5~8mmの結石を数個認める。腹水の貯留を認める。

現時点で適切な対応はどれか。2つ選べ

胃瘻造設
外科手術
栄養療法
鎮痛薬の投与
抗癌化学療法

解答: c,d

113D70の解説

背部痛、食欲不振と体重減少を主訴に来院した78歳男性。膵体部癌と肺転移、肝転移を認めている。
a 食欲が低下しているのは疼痛の影響が大きく、まずは疼痛をコントロールして経口摂取できるようにする。
b 多発転移しており、手術の適応はない。
c 正しい。食欲が低下しているので、なるべく栄養価の高い、食べやすいものを摂取するように形態を変えることは大切である。
d 正しい。主訴は背部痛である。まず対応すべき問題である。
e 迷うとすればこの選択肢である。しかしここで主訴をもう一度見てみよう。背部痛、食欲不振と体重減少である。これらはまず行うべきであり、すぐに対処可能なものである。現時点で、という問題文からもcとdに正答を譲る。

正答率:69%

テーマ:末期進行癌への対応

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