113D57

61歳の男性。発熱と皮疹を主訴に来院した。一昨日から発熱があり、昨日から体幹に紅斑が出現した。本日になり紅斑が四肢にも広がってきたため来院した。発熱は持続し、頭痛を伴っている。紅斑に痒みは伴っていない。腹痛や下痢を認めない。1週間前に山に入り、伐採作業をした。同様の症状を訴える家族はいない。意識は清明。身長162cm、体重62kg。体温38.8℃。脈拍96/分、整。血圧146/88mmHg。呼吸数20/分。SpO2 97%(room air)。体幹・四肢に径2~3cmの紅斑が散在する。右鼠径部に、周囲に発赤を伴った直径5mmの痂皮を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。咽頭の発赤や扁桃の腫大を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。神経診察に異常を認めない。関節の腫脹を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球488万、Hb 14.1g/dL、Ht 42%、白血球4,300(桿状核好中球12%、分葉核好中球55%、好酸球1%、好塩基球1%、単球15%、リンパ球16%)、血小板9万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 76U/L、ALT 46U/L、LD 356U/L(基準176~353)、γ-GTP 45U/L(基準8~50)、CK 46U/L(基準30~140)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、血糖96mg/dL、Na 134mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 98mEq/L。CRP 7.4mg/dL。

適切な治療薬はどれか。

ペニシリン
アシクロビル
アミノグリコシド
アムホテリシンB
テトラサイクリン

解答: e

113D57の解説

発熱と皮疹を主訴に来院した61歳男性。山に行った5日後から症状が出現しており、右鼠径部に痂皮を伴う発赤を認めることからつつが虫病を考える。血小板と好酸球の低下に加え肝酵素の上昇を認めることも合致する。
a βラクタム系抗菌薬は無効である。
b 抗ウイルス薬である。単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルスに対して使われる。
c アミノグリコシド系抗菌薬は無効である。
d 抗真菌薬である。 
e 正しい。つつが虫病の第一選択薬である。なお、第2選択薬はクロラムフェニコールである。

正答率:96%

テーマ:ツツガムシ病〈つつが虫病〉〈ツツガ虫病〉の治療薬

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