113D54

57歳の男性。発熱と倦怠感を主訴に来院した。1か月前に右頸部腫瘤に気付いた。2週間前から38℃台の発熱と倦怠感をきたし、軽快しないため受診した。右頸部に径1.5cmのリンパ節を3個触知する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。既往歴と家族歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長170cm、体重68kg。体温37.4℃。脈拍100/分、整。血圧132/90mmHg。呼吸数24/分。SpO2 98%(room air)。血液所見:赤血球210万、Hb 7.4g/dL、Ht 23%、白血球16,000(異常細胞60%)、血小板5万。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。骨髄細胞の染色体分析では正常男性核型であった。異常細胞のペルオキシダーゼ反応は陰性。表面マーカー解析ではCD19陽性、CD20陰性、CD33陰性、TdT(terminal deoxynucleotidyl transferase)陽性であった。

診断はどれか。

急性骨髄性白血病
急性リンパ性白血病
慢性骨髄性白血病
慢性リンパ性白血病
成人T細胞白血病

解答: b

113D54の解説

中年男性の発熱と倦怠感。右頸部腫瘤はリンパ節腫脹であろう。白血球が16,000と上昇しており、異常細胞を60%も認めている。血小板5万と低下しており、ペルオキシダーゼ反応が陰性であることから急性リンパ性白血病〈ALL〉を考える(むろん急性骨髄性白血病〈AML〉のM0とM7もペルオキシダーゼ反応は陰性となるため完全にAMLを否定してはならないのだが、大筋を考えることが重要だ)。表面マーカー解析ではCD19(Bリンパ球に発現している)陽性であることから、やはりALLに絞り込まれる。画像では白血病裂孔陽性の幼若芽球の増生がみられる。TdTはほぼ全てのALLと約1/3の慢性骨髄性白血病〈CML〉急性転化例にてその活性が証明される酵素である。
a 急性骨髄性白血病ではCD19陽性が合致しない。
b 正しい。上記の通り。
c 慢性骨髄性白血病ではCD19陽性や血小板減少が説明つかない。
d 慢性リンパ性白血病ではTdTや白血病裂孔は陰性となる。
e 成人T細胞白血病では画像にてflower cellを認める。また、B細胞に発現するCD19陽性が説明つかない。

正答率:91%

テーマ:急性リンパ性白血病〈ALL〉の診断

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