113D43

82歳の男性。頻回の嘔吐を主訴に救急車で搬入された。10年以上前から胆嚢結石症と診断されていたが無症状のため経過観察となっていた。昨日の昼食時に食物残渣が混じった嘔吐が2回あり、夕食は摂取しなかった。深夜になっても嘔吐を3回繰り返したため救急車を要請した。体温36.8℃。心拍数100/分、整。血圧100/58mmHg。呼吸数20/分。腹部は膨満し、心窩部から臍周囲に圧痛を認めるが、筋性防御を認めない。聴診で金属音を聴取する。血液所見:赤血球395万、Hb 12.4g/dL、Ht 37%、白血球12,600、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL、アルブミン3.3g/dL、総ビリルビン1.4mg/dL、AST 18U/L、ALT 8U/L、尿素窒素38mg/dL、クレアチニン1.8mg/dL。発症2年前の腹部単純CT(A)及び今回の腹部単純CT(B)を別に示す。

適切な治療はどれか。

下剤の投与
イレウス解除術
腹腔鏡下胆嚢摘出術
経皮的胆嚢ドレナージ
内視鏡的胆管ドレナージ

解答: b

113D43の解説

高齢男性の嘔吐。10年以上前から胆嚢結石症と診断されていたという。聴診で腹部に金属音を聴取することから単純性イレウスを考えよう。画像A(発症2年前)には胆嚢内に存在した胆石が、Bの上の画像ではなくなっている。代わりにBの下の画像で小腸内に胆石が落下している様子がみてとれる。落下胆石によるイレウス(胆石イレウス)の診断。
a イレウスに下剤投与は行わない。腸蠕動が亢進し、消化管内圧が上昇し、腹痛や嘔吐といった症状が悪化する危険があるためだ。
b 正しい。診断さえつけば選びやすい選択肢だ。
c〜e 胆石はすでに胆道内にはない。ゆえにこれらの対応は無効。

正答率:91%

テーマ:胆石腸閉塞(イレウス)の治療

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