113D42

56歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。午前7時30分に、頭痛、悪心および嘔吐が出現し、徐々に意識がもうろうとしてきたため、30分後に妻が救急車を要請した。40歳時に高血圧症を指摘されていたが、定期的な通院はしていなかった。喫煙は20歳から20本/日。飲酒はビール2L/日。意識状態はJCS I-3。体温37.9℃。心拍数96/分、整。血圧226/136mmHg。呼吸数22/分。SpO2 96%(鼻カニューラ3L/分酸素投与下)。眼底にうっ血乳頭を認める。心音に異常を認めない。両側胸部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球412万、Hb 13.9g/dL、白血球9,300、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白6.3g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 25U/L、ALT 21U/L、LD 232U/L(基準176~353)、クレアチニン1.3mg/dL、血糖94mg/dL、Na 139mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 103mEq/L。CRP 1.6mg/dL。頭部CTで軽度の浮腫が疑われたが脳出血を認めない。

降圧治療の方針で適切なのはどれか。

降圧を行わない。
硝酸薬の舌下投与を行う。
硝酸薬の経皮投与を行う。
カルシウム拮抗薬の舌下投与を行う。
カルシウム拮抗薬の経静脈投与を行う。

解答: e

113D42の解説

意識障害のため救急車で搬入された中年男性。血圧226/136mmHgと高度上昇しており、クレアチニン1.3mg/dLと腎機能障害もある。悪性腎硬化症(悪性高血圧症)の診断だ。究極的な原因は不明であるが、諸臓器の障害も出現してきており、緊急に降圧を行う必要がある。
a 降圧は必須。
b・d 舌下投与では持続性に欠け、投与量の調整も難しい。
c 経皮投与ではやはり持続性に欠け、投与量の調整も難しい。また、速効性もない。
e 正しい。降圧薬であるカルシウム拮抗薬を経静脈投与することで緊急の降圧を図る。

正答率:87%

テーマ:悪性高血圧症の降圧治療方針

フォーラムへ投稿

関連トピック