113D35

68歳の女性。体重減少と全身倦怠感を主訴に来院した。4年前から、農作業のあとに顔や手足などの日焼けが周囲の人より目立つことに気付いていた。昨年から食欲が低下し、体重減少と全身倦怠感を自覚し、改善しないため受診した。50歳以降、健診にて胸膜肥厚と肺野の石灰化病変を指摘されている。身長164cm、体重49kg。体温35.7℃。脈拍64/分、整。血圧98/54mmHg。顔面と四肢、関節伸側、口腔内に色素沈着を認める。血液所見:赤血球350万、Hb 10.8g/dL、Ht 32%、白血球4,200。血液生化学所見:尿素窒素17mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖70mg/dL、Na 127mEq/L、K 5.3mEq/L、Cl 94mEq/L。結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉陽性。

この患者で予想される所見はどれか。

好酸球減少
副腎の石灰化
血中ACTH低値
血漿レニン活性低下
尿中遊離コルチゾール高値

解答: b

113D35の解説

高齢女性の体重減少と全身倦怠感。「日焼けが周囲の人より目立つ」という記載からは光線過敏症も考えるが、どうやらその先を読むに意図は異なるようだ。胸膜肥厚と肺野の石灰化病変が指摘されており、IGRA陽性と合わせ、結核既往を考える。色素沈着からは血中ACTH高値を疑う。以上を総合的に考えるに、副腎結核に由来するAddison病と考えられる。「日焼けが周囲の人より目立つ」のは色素沈着のことを指しているのだろう。
a Cushing症候群など副腎皮質機能の亢進症では好酸球が減少する。逆に副腎皮質機能低下症であるAddison病では好酸球が増加する。
b 正しい。副腎結核では副腎の石灰化をみる。
c 血中ACTHは高値を示す。
d 副腎皮質機能低下によりアルドステロン分泌が低下する。そのフィードバックにより血漿レニン活性は上昇する。
e 尿中遊離コルチゾール高値となるのはCushing症候群。Addison病ではその逆となるわけで、尿中遊離コルチゾール低値となる。

正答率:82%

テーマ:副腎結核によるAddison病の所見

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