113D29

22歳の男性。黄疸を主訴に来院した。家族に黄疸を指摘されたため受診した。自覚症状はない。血液所見:赤血球452万、Hb 14.3g/dL、白血球5,400、血小板18万。血液生化学所見:総ビリルビン3.8mg/dL、直接ビリルビン0.3mg/dL、AST 18U/L、ALT 19U/L、LD 210U/L(基準176~353)、ALP 220U/L(基準115~359)、γ-GTP 19U/L(基準8~50)、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性。低カロリー食試験で血清ビリルビン値は2倍以上に上昇した。

対応として適切なのはどれか。

肝生検
経過観察
直接Coombs試験
母子健康手帳記載の確認
内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査〈ERCP〉

解答: b

113D29の解説

若年男性の黄疸。黄疸の原因として多いのは胆嚢結石や胆嚢癌であるが、これらは若年男性でみられることが少ない。年齢と主訴からかなり絞り込むことができるだろう。総ビリルビン3.8mg/dLと上昇しているが、直接ビリルビン0.3mg/dLと基準値である。そのため差分を考えるに間接ビリルビン優位に上昇していると考えられる。決定打となるのは「低カロリー食試験で血清ビリルビン値は2倍以上に上昇した」という記載。これはGilbert症候群のキーワードだ(絶対に覚えるべき)。
a 病的意義のある肝疾患を考えた際に診断のために行うことがあるが、体質性黄疸の1つであるGilbert症候群に肝生検を行うことはない。
b 正しい。体質性黄疸であるため、経過観察とする。
c・e Gilbert症候群では直接Coombs試験やERCPで異常所見がみられない。
d Gilbert症候群は思春期以降にみられる病態である。ゆえに母子健康手帳に何かしら新生児期や幼児期の異常が書かれていたとしてもそれは役立たない。

正答率:65%

テーマ:Gilbert症候群への対応

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