113D22

78歳の女性。繰り返す奇妙な動作を心配した夫に付き添われて来院した。4年前から物忘れが目立つようになり、徐々に買い物や炊事に支障をきたすようになった。2年前にAlzheimer型認知症と診断され、ドネペジルの処方を受けていた。2か月前から、食事中や会話中に突然それまでの動作が止まり、口唇を尖らせた後に1分間くらい口をもぐもぐするようになった。この間、家族が声をかけても返答はなく、視線は宙を見据えている。奇妙な動作中の意識があるかどうかを確認するため詳しく問診しても、認知症のため確かな返答は得られない。意識は清明。体温36.2℃。脈拍56/分、整。血圧126/80mmHg。神経診察では局所神経徴候を示す異常所見を認めない。頭部MRIで海馬の萎縮を認めるが、1年前と比較して新たな病変はみられない。

最も考えられるのはどれか。

解離性障害
悪性症候群
カタレプシー
複雑部分発作
薬剤性せん妄

解答: d

113D22の解説

高齢女性の繰り返す奇妙な動作。「口をもぐもぐする」(自動症)がみられており、側頭葉てんかん〈複雑部分発作〉を考える。本来であれば発作中の意識が消失するはずであるが、本患者はAlzheimer型認知症であるため発作中の評価が困難となっている。
a 健忘を呈することがあるも、上述のように認知症のため評価は不能。
b Parkinson病治療薬を急に中断した際などに高熱や筋強剛、不随意運動の増悪、横紋筋融解がみられる病態。
c 緊張病症候群でみられる、同一動作をとりつづける現象。
d 正しい。上記の通り。
e せん妄が1分間で止むことはない。

正答率:96%

テーマ:側頭葉てんかん〈複雑部分発作〉の診断

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