113D23

32歳の女性。腹痛と悪心を主訴に来院した。毎年、健診は受診しているが、これまで異常を指摘されたことはない。5日前から37℃台の発熱と咽頭痛があったが、軽い感冒と考えてそのままにしていた。昨日夜から上腹部痛と悪心を自覚し、今朝になり受診した。意識は清明。身長158cm、体重46kg。脈拍96/分、整。血圧102/58mmHg。腹部に圧痛は認めない。尿所見:蛋白(-)、糖3+、ケトン体3+。血液所見:赤血球510万、Hb 15.0g/dL、Ht 45%、白血球11,500、血小板27万。血液生化学所見:クレアチニン1.2mg/dL、アミラーゼ270U/L(基準37~160)、空腹時血糖328mg/dL、HbA1c 6.2%(基準4.6~6.2)、トリグリセリド388mg/dL、LDLコレステロール58mg/dL、HDLコレステロール28mg/dL、血清総ケトン体1,885μmol/L(基準130以下)。CRP 2.0mg/dL。動脈血ガス分析:pH 6.99、PaCO2 22.1Torr、PaO2 83.5Torr、HCO3- 5.2mEq/L。腹部単純CTで異常を認めない。生理食塩液の輸液を開始した。

次に行うべきなのはどれか。

輸液のみで経過をみる。
スルホニル尿素薬を投与する。
フィブラート系薬を投与する。
持効型インスリンを皮下注射する。
速効型インスリンを持続静注する。

解答: e

113D23の解説

壮年女性の腹痛と悪心。尿糖3+、尿ケトン体3+、空腹時血糖328mg/dL、血清総ケトン体高度上昇から糖尿病性ケトアシドーシス〈DKA〉が考えやすい。しかしながらHbA1c 6.2%と糖尿病の診断基準は満たさない。劇症1型糖尿病由来のDKAと考えられる。DKAの治療ときたら、生理食塩水+速効型インスリンの持続静注だ。
a 速効型インスリンも投与すべき。
b 経口血糖降下薬。2型糖尿病に有効。また、DKAの急性期に使う薬剤ではない。
c 高トリグリセリド〈TG〉血症に有効。確かにこの患者はTG 388mg/dLと上昇しているが、DKAの主病態はTG上昇ではない。
d 持効型インスリン皮下注射では速効性に乏しく、DKAの治療としては行われない。平常時の糖尿病患者に対して行われる。
e 正しい。上記の通り。

正答率:86%

テーマ:糖尿病性ケトアシドーシス〈DKA〉の治療

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