113C41

7歳の男児。小学1年生の心電図検診で左室肥大を指摘され来院した。現在まで家庭や学校での生活で易疲労性を指摘されたことはない。右上肢の血圧は142/88mmHgで、左背部で収縮期に雑音を聴取する。心エコー検査で左室壁が肥厚しているが、左室の壁運動に異常を認めない。明らかな心内シャントは認めない。

予想される所見はどれか。

肝腫大
II音の亢進
左前胸部の突出
上下肢の血圧較差
毛細血管再充満時間の延長

解答: d

113C41の解説

7歳男児の左室肥大。左背部の雑音記載もある。通常心雑音であれば、胸骨◯縁第◯肋間的な記載になるはずなのだが、あえて「左背部で収縮期に」と示したのは出題者の意図するところであろう。つまりは心臓の外で狭窄があるのである。大動脈縮窄症〈CoA〉を考えたい。CoA複合であればチアノーゼが出現するはずであるため、本症例では単純型CoAであろう。腕頭動脈分岐部の後で狭窄があるため、右上肢の血圧が上昇している。
a 単純型CoAでは左心の負荷が強くみられる(だからこそ左室肥大している)。肝腫大は右心不全徴候であり、予想されない。
b 確かに高血圧症ではIIA音が亢進する。しかし本症例では142/88mmHgと軽度上昇にとどまっているため、IIA音が亢進すると断言することはできない。one bestを選ぶという観点からは正答をdに譲る。
c 著しい心拡大があれば左前胸部が突出する可能性もあるが、現在まで家庭や学校での生活で易疲労性を指摘されたことはないわけで、そこまで症状が進行しているとは思えない。
d 正しい。CoAでは下肢血圧に比べ上肢血圧が上昇しているのが特徴である。
e 毛細血管再充満時間の延長は循環不全を示唆する所見である。本患者に自覚症状はなく、血圧も高いため循環不全があるとは考えにくい。

正答率:41%

テーマ:単純型大動脈縮窄〈CoA〉の所見

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