113C42

62歳の女性。便潜血の精密検査を目的に来院した。便潜血検査による検診を受け、1日目が陽性、2日目が陰性であったため、精密検査が必要と判定されて受診した。友人から「内視鏡検査は苦痛だ」と聞いており、内視鏡検査を受けることを躊躇している。便通は毎日あり、便柱狭小化はない。最近数年間で体重の明らかな増減はない。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。大腸癌の家族歴はない。身長155cm、体重56kg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛を認めない。

最も適切な対応はどれか。

「腹部超音波検査を行いましょう」
「大腸癌の腫瘍マーカーの血液検査をしましょう」
「経過をみて、6か月後に便潜血を再検しましょう」
「便潜血の再検査を行い、その結果で考えましょう」
「大腸内視鏡検査の必要性について詳しく説明させてください」

解答: e

113C42の解説

検診にて便潜血陽性であった62歳女性。大腸内視鏡検査に不安があるようだ。
a 便潜血検査は大腸癌のスクリーニングである。腹部超音波検査では自覚症状がないような小さな病変はわからない。
b 腫瘍マーカーはあくまでも参考程度である。陰性的中率は高くない。
c 仮に今小さな大腸癌があったとすると6か月後では手遅れである。
d 便潜血検査は「2回陰性であれば大腸癌の可能性が低い」という検査である。1度でも陽性となれば大腸内視鏡での精査を要する。
e 正しい。本症例のような、人から聞いた話だけで検査を拒否する患者は少なくない。まずは不安な気持ちを傾聴し、その上できちんと根拠に基づいて必要性を説明することが大切である。

正答率:92%

テーマ:内視鏡検査を躊躇する患者への対応

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし