113C40

69歳の女性。四肢関節痛を主訴に来院した。5年前から手指のこわばり、移動性の疼痛があった。3年前から便秘と下痢を繰り返し、過敏性腸症候群と診断された。半年前、夫が肺癌で死去した。そのころから、四肢関節痛や腰背部痛が悪化したため4週間前に自宅近くの診療所を受診し、NSAIDsの処方を受けたが寛解しなかった。体重に変化はない。体温36.2℃。脈拍80/分、整。血圧120/76mmHg。手指遠位指節間関節や近位指節間関節に骨棘を触れる。手指や手首、膝など多関節に圧痛を認めるが、腫脹を認めない。両側の項部や僧帽筋上縁中央部、下位頸椎横突起問、第二肋骨肋軟骨接合部、上腕骨外側上顆付近、臀部上外側、大腿骨大転子後方の触診時、顔をしかめるような疼痛反応を認める。尿所見に異常を認めない。赤沈10mm/1時間。血液所見:赤血球425万、Hb 12.8g/dL、Ht 40%、白血球4,200、血小板19万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、AST 21U/L、ALT 16U/L、LD 188U/L(基準176~353)、尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL、CK 48U/L(基準30~140)、コルチゾール12.4μg/dL(基準5.2~12.6)。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体陰性。

最も考えられるのはどれか。

線維筋痛症
強直性脊椎炎
関節リウマチ
Sjögren症候群
リウマチ性多発筋痛症

解答: a

113C40の解説

高齢女性の四肢関節痛。手指のこわばりやリウマトイド因子、抗核抗体の提示があり、膠原病系の疾患を考える。ポイントは「多関節に圧痛を認める」という点。線維筋痛症のキーワードだ。なお、本疾患は腹痛や下痢・便秘がみられるため、過敏性腸症候群と誤診されることが多いことが有名である。
a 正しい。上記の通り。
b 強直性脊椎炎ではCRP高値など炎症所見がみられる。
c 関節リウマチでは炎症所見がみられ、かつリウマトイド因子が陽性となる。
d Sj_gren症候群では乾燥症状が前面に出る。また、抗核抗体が陽性となることが多い。
e リウマチ性多発筋痛症〈PMR〉ではCRP高値など炎症所見がみられる。

正答率:59%

テーマ:線維筋痛症の診断

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