113C32

68歳の男性。健診で血清蛋白異常を指摘され来院した。特に自覚症状はない。既往歴に特記すべきことはない。表在リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。血液所見:赤血球438万、Hb 13.8g/dL、Ht 45%、白血球5,800、血小板25万。血液生化学所見:総蛋白8.2g/dL、アルブミン4.7g/dL、IgG 2,628mg/dL(基準960~1,960)、IgA 319mg/dL(基準110~410)、IgM 211mg/dL(基準65~350)、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 26U/L、ALT 38U/L、LD 285U/L(基準176~353)、ALP 295U/L(基準115~359)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、尿酸5.6mg/dL。

診断のために最も重要な血液検査項目はどれか。

可溶性IL-2受容体
寒冷凝集反応
血清カルシウム値
血清免疫電気泳動
直接Coombs試験

解答: d

113C32の解説

高齢男性の血清蛋白異常。血液領域の血清蛋白異常をみる病態としては多発性骨髄腫〈MM〉、原発性マクログロブリン血症、MGUSの3つが代表的であり、これらを念頭に絞り込む。今、IgG 2,628mg/dLと3,000mgを切っており、IgG以外の免疫グロブリン(本文に記載があるのはIgAとIgM)の抑制がかかっていない。以上から、MGUSを疑う。
a 可溶性IL-2受容体は悪性リンパ腫などで測定する。
b 寒冷凝集反応は自己免疫性溶血性貧血〈AIHA〉やマイコプラズマ肺炎で測定する。
c 血清カルシウム値が高値を示すのはMM。
d 正しい。血清免疫電気泳動で単クローン性のγグロブリン増加を示すことがMGUSの診断に有用。
e 直接Coombs試験はAIHAで実施する。

正答率:92%

テーマ:MGUSの診断に最も重要な血液検査項目

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