113C26

70歳の男性。労作時の呼吸困難を主訴に来院した。10年前から労作時の呼吸困難を自覚していたが、徐々に増強したため受診した。喘鳴の自覚はない。喫煙は40本/日を50年間。脈拍72/分、整。血圧128/74mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。呼吸機能検査では1秒率の低下を認め、β2刺激薬の吸入で1秒率低下の改善を認めなかった。胸部エックス線写真(A)及び胸部CT(B)を別に示す。

対応として適切でないのはどれか。

禁煙指導
23価肺炎球菌ワクチン接種
インフルエンザワクチン接種
長時間作用性抗コリン薬投与
ロイコトリエン受容体拮抗薬投与

解答: e

113C26の解説

労作時の呼吸困難を主訴に来院した70歳の男性。ヘビースモーカーであり、10年間かけて徐々に増悪してきている。呼吸機能検査では1秒率の低下を認めることから閉塞性疾患を考える。β2刺激薬の吸入で1秒率低下の改善を認めなかったことから喘息は否定される。胸部エックス線写真では肺の過膨張と横隔膜の平低化を認め、胸部CTでは黒い部分が目立っており、気腫化を示唆する所見である。典型的な慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉である。
a 壊れた肺胞を元に戻すことはできないが、それでも症状の進行を緩やかにすることはできる。禁煙は最大の治療である。
b、c COPD患者は重症化しやすいためワクチンによる予防は大切である。
d 長時間作用性抗コリン薬の吸入はCOPD治療の第一選択薬である。効果不十分な場合には長時間作用性β2刺激薬を追加する。
e 誤り。ロイコトリエン受容体拮抗薬は喘息の治療薬である。

正答率:94%

テーマ:慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉への対応

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