113A72

67歳の男性。2か月前から持続する心窩部痛と背部痛を主訴に来院した。3か月間で体重が10kg減少している。意識は清明。腹部は平坦で、心窩部に径5cmの固い腫瘤を触知する。血液所見:赤血球395万、Hb 12.9g/dL、Ht 38%、白血球8,100。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 44U/L、ALT 41U/L、ALP 522U/L(基準115~359)、γ-GTP 164U/L(基準8~50)、アミラーゼ51U/L(基準37~160)、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。CEA 758ng/mL(基準5以下)、CA19-9 950U/mL(基準37以下)。腹部造影CTを別に示す。

治療として適切なのはどれか。2つ選べ

動脈塞栓術
放射線照射
抗癌化学療法
膵体尾部切除術
膵頭十二指腸切除術

解答: b,c

113A72の解説

高齢男性の2か月前から持続する心窩部痛と背部痛。体重減少もみられる。心窩部に径5cmの固い腫瘤を触知するという診察所見からは腫瘍の存在が疑われる。CEAとCA19-9は膵癌の腫瘍マーカーであるため、これらの高値からは膵癌が考えられる。ALPとγ-GTPの高値がみられ、胆道系障害もありそうだ。画像が6枚も提示されており一瞬圧倒されるが、①病変の主座が膵体尾部であること、②主要動脈(腹腔動脈と上腸間膜動脈〈SMA〉)への浸潤があること、の2点を伝えたいにすぎない。
a 肝細胞癌の治療には行われるが、膵癌の治療には行われない。
b・c 正しい。脈管浸潤があるため根治手術は見込めず、化学放射線療法が行われる。
d・e 脈管浸潤があるため根治手術は不可能である。
102D39の類似問題。

正答率:32%

テーマ:膵体尾部癌の治療

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