113A73

44歳の女性。紅斑、全身倦怠感および食欲不振を主訴に来院した。1か月前から掻痒を伴う紅斑が四肢に出現したため皮膚科を受診し、抗アレルギー薬と副腎皮質ステロイド外用薬を処方されたが改善せず、紅斑は体幹にも広がった。同時に全身倦怠感と食欲不振も出現したため受診した。父親が血液疾患で死亡。体温38.5℃。脈拍96/分、整。全身に紅斑を認める。両側の頸部、腋窩および鼠径部に径1~2cmのリンパ節を6個触知する。血液所見:赤血球466万、Hb 14.4g/dL、Ht 44%、白血球12,900(異常リンパ球25%)、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.0g/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、AST 28U/L、ALT 15U/L、LD 1,600U/L(基準176~353)、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン1.3mg/dL、空腹時血糖90mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 102mEq/L、Ca 12.3mg/dL。背部の皮疹(A)及び末梢血塗抹May-Giemsa染色標本(B)を別に示す。

行うべき治療はどれか。3つ選べ

抗癌化学療法
生理食塩液輸液
抗ウイルス薬投与
ビスホスホネート製剤投与
活性型ビタミンD$_3$製剤投与

解答: a,b,d

113A73の解説

中年女性の紅斑、全身倦怠感および食欲不振。リンパ節を触知しており、白血球分画で異常リンパ球が増えている。血液疾患を考えたい。画像ではAで背部に散在する紅斑を、Bでflower cellを指摘可能。成人T細胞白血病〈ATL〉の診断。高カルシウム血症を呈しているのは、偽性副甲状腺機能亢進症(PTHrP増加)が原因である。
a 正しい。抗癌化学療法が有用。
b 正しい。高カルシウム血症を呈しており、生理食塩液輸液により希釈させたい。
c ATLの原因ウイルスはHTLV-1であるが、この病原体に対して抗ウイルス薬やワクチンは存在しない。
d 正しい。ビスホスホネート製剤には骨吸収抑制作用がある。高カルシウム血症に対して有用。
e 活性型ビタミンD3製剤は血中カルシウム濃度を上昇させる。病態が悪化するため、不適切。

正答率:77%

テーマ:成人T細胞白血病〈ATL〉の治療

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