113A70

13歳の女子。疲れやすさを主訴に来院した。陸上部に所属している。1年前から疲れやすさを自覚し、短距離走の成績が落ちてきたことに気づいていた。最近、より疲れやすくなったため受診した。食欲は旺盛である。病院の階段を上る際に動悸と胸の苦しさを感じたという。脈拍120/分、整。血圧136/72mmHg。頸部触診で甲状腺の腫大を認める。心音では胸骨左縁第2肋間にIII/IVの収縮期雑音を聴取するが、呼吸音には異常を認めない。手指に振戦を認める。血液所見:赤血球452万、Hb 12.3g/dL、Ht 36%、白血球8,900、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白6.1g/dL、アルブミン3.6g/dL、AST 33U/L、ALT 31U/L、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、TSH 0.1μU/dL未満(基準0,5~5.0)、FT3 30pg/mL以上(基準2.2~4.3)、FT4 10ng/dL以上(基準0.9~1.7)、抗TSH受容体抗体陽性。

現時点の対応として適切なのはどれか。2つ選べ

食事量の制限
甲状腺摘出手術
部活動の休止指示
抗甲状腺薬の投与
放射性ヨウ素の投与

解答: c,d

113A70の解説

若年女子の疲れやすさ。甲状腺の腫大があり、手指に振戦を認める。TSH低値、FT3とFT4高値より甲状腺機能亢進症を疑う。抗TSH受容体抗体〈TRAb〉陽性であることから、Basedow病の診断。胸骨左縁第2肋間にIII/IVの収縮期雑音は甲状腺機能亢進による心収縮力の増大が原因であろう(甲状腺機能亢進症は高拍出性心不全の原因となることを再確認されたい)。
a 代謝が亢進している状況であるため、食事量を制限してはやせ衰えてしまう。
b Basedow病の治療に外科手術は有効。しかしながら、初診時の現段階でいきなり考慮されるものではない。
c 正しい。陸上部の活動は身体への負担となるため、病態が落ち着くまでは休止させる。
d 正しい。薬物療法が第一選択である。
e Basedow病の治療に放射性ヨウ素の投与は有効。しかしながら、妊婦(または近いうち妊娠希望)、授乳婦、(原則として)18歳未満には適応とならない。

正答率:75%

テーマ:Basedow病への対応

フォーラムへ投稿

関連トピック