113A34

57歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。2週間前に発作性心房細動に対し、ジソピラミドの投与を開始された。治療開始後、動悸発作の頻度は減少したが、ふらつきを時々感じたため昨日受診し、Holter心電図を装着した。本日、結果を解析した検査室から異常所見の報告が担当医に入り、担当医は患者に連絡し、受診を促し患者が来院した。意識は清明。脈拍76/分、不整。血圧112/62mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経診察に異常を認めない。Holter心電図を別に示す。

現時点の対応として適切なのはどれか。

アトロピン投与
ジソピラミドの中止
カルディオバージョン
カテーテルアブレーション
恒久的ペースメーカの留置

解答: b

113A34の解説

ふらつきを主訴に来院した57歳の男性。Holter心電図では、動悸時RR間隔が不整であり心房細動を認めている。ふらつき時には約6.8秒の洞停止を認めており、Adams Stokes症候群を来していると考えられる。現時点で身体所見、神経学的所見に異常を認めないことからも、脳神経疾患というよりは心疾患を考える。原因としては、2週間前に開始されたジソピラミドを考える。ちなみに、多くの病院では検査結果をみて緊急性が高いと判断されれば、本症例のように検査室から検査をオーダーした担当医に連絡が入ることになっている。
a アトロピンは徐脈に対して緊急処置的に使われる薬剤である。現時点では症状がないため使用する必要はない。
b 正しい。投薬開始後から症状が出ており、まず原因薬物を中止するのが適切な対応である。ジソピラミドは刺激伝導系を抑制するため洞停止に注意する。また、低血糖も有名な副作用である。
c 今脈拍が不整であるため選びたくなる選択肢かもしれない。ただし、心房細動におけるカルディオバージョンの適応は血行動態が不安定な場合や症状が強く薬物コントロール不良の場合などである。現時点では不要である。
d カテーテルアブレ一ションは今後検討すべき治療であるが、現時点で一番患者に不利益を被っているのは洞停止によるふらつきであるため、原因薬剤を中止することが先決である。
e 今後の治療の1つとして恒久的ペースメーカの留置を行った上で抗不整脈薬を投与するケースはあるが、57歳とまだ若いため他の治療法を行ってから最終的に行う治療法となるであろう。

正答率:91%

テーマ:洞不全症候群〈SSS〉への対応

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