112F76

追加情報(本人の意識回復後に聴取した内容):2回の出産後、月経は正常に戻ったが最近は少し不順気味である。魚油系のサプリメントを服用しているが常用薬はない。2年に1度、家族で海外旅行に行っており、直近は1年前にアメリカ西海岸を訪れた。犬を10年以上室内で飼っている。体重はこの1年で5kg減って48kgである。

その後の経過:ブドウ糖液静注後、意識障害は改善し再度の悪化を認めなかったため、翌朝まで維持液1,000mLを輸液しながら経過観察することにした。翌朝の診察時、意識状態は再度悪化し意思疎通が取れなくなっていた。バイタルサインは正常である。血液生化学所見:血糖82mg/dL、Na 112mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 78mEq/L。CRP 0.3mg/dL。動脈血ガス分析の結果は正常。緊急で行った頭部CTで異常を認めない。

この患者の意識障害の原因として疑わしいのはどれか。

下垂体前葉機能低下症
サプリメントの大量摂取
遷延性低血糖症
粘液水腫性昏睡
無菌性髄膜炎

解答: a

112F76の解説

血糖低下、Na低下、Cl低下、Kは正常範囲。副腎不全によりアルドステロンが分泌できていないのであれば、Kが高値となるはずだ。ゆえに視床下部や下垂体前葉のトラブルが考えやすい。
a 正しい。選択肢の中では最も考えやすい。
b 完全に否定することはできないが、aの方が考えやすい。
c 血糖を摂取しても30分ほどで再び低血糖となってしまう病態。スルホニル尿素薬の内服患者に多い。
d 基礎に甲状腺機能低下症(その場合、体重増加する)がある場合に考える。
e 髄膜刺激症状はみられても、低血糖や低ナトリウム血症をきたすことは特徴的でない。

正答率:77%

テーマ:【長文2/3】意識障害の原因としての下垂体前葉機能低下症

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