112D63

53歳の女性。右側頭部痛とふらつきを主訴に来院した。3か月前に右側頭部痛が出現し、歩行時と体動時に体が揺れる感覚を自覚するようになった。1週間前から右耳にセミの鳴くような耳鳴りも出現した。自宅近くの診療所で投薬治療を受けたが改善しないため受診した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。血液所見に異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。右鼓膜の写真(A)と右側頭骨CT (B)とを別に示す。

今後、出現する可能性が高い症状はどれか。2つ選べ。

右難聴
開口障害
右眼險下垂
回転性めまい
右顔面けいれん

解答: a,d

112D63の解説

中年女性の右側頭部痛とふらつき。「体動時に体が揺れる」「耳鳴り」といった記載からは聴神経の障害を考える。画像ではAにて鼓膜弛緩部に痂皮が付着しており、Bでは骨破壊と中耳内の軟部組織陰影がみられる。109A27とほぼ同様のパターンだ。真珠腫性中耳炎を考える。
a 正しい。聴神経障害により、右難聴がみられる。
b 上顎/下顎骨折や扁桃周囲膿瘍にてみられる。
c 右の動眼神経障害(上眼瞼挙筋障害)や交感神経障害(上瞼板筋障害)にてみられる。
d 正しい。聴神経障害により、回転性めまいがみられる。
e 顔面神経障害により出現する。病態的にはみられても矛盾はないが、本文中に顔面神経障害を思わせる記載がないため、正答はaとdに譲ることとなる。

正答率:85%

テーマ:真珠腫性中耳炎に出現する可能性が高い症状

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