112D50

66歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。3か月前から早歩きの際に呼吸困難を自覚するようになった。症状は急に始まり、そのまま歩行を続けることはできないが、立ち止まって安静にすると約3分で改善する。冷汗や眼前暗黒感、呼吸性の痛みの増強はないという。症状の頻度や程度は変わらなかったが、心配した家族に付き添われて受診した。体温36.6℃。脈拍68/分、整。血圧132/82mmHg。呼吸数14/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。胸部エックス線写真で異常を認めなかった。心電図をとって検査室から早足で外来に戻ってきたところ、いつもと同じ症状が出現してきたという訴えがあった。直ちに外来診察室でバイタルサインを確認し、心電図の再検査を行った。心拍数98/分。血圧172/92mmHg。SpO2 99 % (room air)。症状は、いつもと同じ強さで出現から約2分続いている。本日受診時の心電図(A)と診察室での発作時の心電図(B)とを別に示す。

まず行うべきなのはどれか。

ベラパミル経口投与
ニトログリセリン舌下投与
へパリン静注
アトロピン静注
アドレナリン静注

解答: b

112D50の解説

呼吸困難を主訴に来院した66歳男性。休憩により症状は消失し、来院時のバイタルも正常である。発作時の心電図ではII、III、aVF誘導でST低下を認めており、労作性狭心症を疑う。
a 心拍数を下げる効果が期待できる薬剤である。しかし、この心拍数上昇は狭心症発作のために起こったものであり、発作を止めることが優先である。
b 正しい。労作性狭心症の発作時にはニトログリセリンを舌下投与する。通常2~3分で効果が出現する。
c ヘパリンは抗凝固薬であり、発作を改善させる効果はない。
d アトロピンは徐脈の際に投与する。
e アドレナリンは心停止時に使用する。

正答率:81%

テーマ:労作性狭心症の治療

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