112D49

74歳の女性。左乳房のしこりを主訴に来院した。30年前に左乳房にゴルフボール大のしこりがあるのに気付いていたが、大きさに変化がないためそのままにしていた。先日、入浴時にしこりの増大に気付き心配になり受診した。乳房に色調の変化やひきつれを認めない。表面平滑で弾性硬、可動性良好な径3cmの腫瘤を触知する。腋窩リンパ節を触知しない。左乳房のマンモグラム(A)と胸部CT(B)とを別に示す。

考えられる診断はどれか。

乳癌
乳腺炎
乳腺症
Paget 病
乳腺葉状腫瘍

解答: e

112D49の解説

高齢女性の乳房しこり。画像ではA, Bともに表面が比較的整な腫瘤影が描出されている。進行が30年間ときわめて緩徐なこと、表面平滑で弾性硬、可動性良好、といった記載より良性〜境界悪性の腫瘍を考えたい。確定診断には至らないため、選択肢から消去法的に絞り込むこととなる。
a 悪性腫瘍であり、30年もの緩徐な進行をとることはない。
b 文字通り炎症性疾患であり、主訴は「しこり触知」ではなく「圧痛」となる。
c こちらも主訴は「圧痛」となる。また、原則として両側性の発症である。
d 早期乳癌に分類される。ゆえにa同様、30年もの緩徐な進行をとることはない。また、乳輪部にみられることが多く、腫瘤の形はとりにくい。
e 正しい。境界悪性の腫瘍であり、与えられた情報からは最も考えやすい。

正答率:91%

テーマ:乳腺葉状腫瘍の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし