112D30

70歳の男性。激しい腹痛と腹部膨満感とを主訴に救急車で搬入された。以前からParkinson病で内服治療中であった。体温36.8℃。心拍数72/分、整。血圧130/70mmHg。呼吸数16/分。血液所見:赤血球420万、Hb 11.2g/dL、白血球11,000、血小板20万。血液生化学所見:AST 33U/L、ALT 25U/L。CRP 5.8mg/dL。腹部エックス線写真を別に示す。

まず行うべきなのはどれか。

イレウス管留置
高圧酸素療法
緊急開腹手術
内視鏡治療
浣腸

解答: d

112D30の解説

高齢男性の腹痛と腹部膨満感。Parkinson病の背景があり、腸運動が低下していた可能性が高い。画像では典型的なcoffee bean signがみられ、S状結腸捻転症の診断となる。
a 約50%の受験生が選択した。経鼻のイレウス管であればS状結腸まで到達しないが、経肛門のイレウス管であれば減圧を図ることは可能だ。ゆえに悪いわけではない。すでに診断がついており、治療へ移行すべきタイミングと考え、現時点で最優先とすべき対処とは言い難いという出題者の意図なのだろう。
b 麻痺性イレウスや癒着性腸閉塞の治療に高圧酸素療法が有用、との報告がある。S状結腸捻転症には用いられない。
c 約35%の受験生が選択した。むろん、保存的治療で事態が収拾つかなくなれば行う。が、「まず行うべき」ではないとのことなのだろう。
d 正しい。内視鏡による減圧が現代では速効性もあり、効果が高いとされる。
e 浣腸による整復が有用な腸閉塞も一部存在するが、S状結腸捻転症には用いられない。
※正答率7.7%。国試当日、筆者もaかcで悩んだ。が、まさかのダークホースdが正解。しかも誰しもが当て馬選択肢と思ったbが案外順当。「僕は実習でみたから知ってました」とか「研修医になれば分かるよ」とか後出しジャンケンでいろいろ言うことはできる。が、これはムリだろ、というのが正直な感想。

正答率:8%

テーマ:S状結腸捻転症にまず行うべき対応

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