112D28

80歳の女性。頭痛、吐き気および下肢のけいれんを主訴に来院した。日中は自宅に一人でおり、夕方帰宅した家族に連れられて受診した。同日の最高気温は39℃で、冷房は使用していなかったという。60歳から高血圧症のため、降圧薬を内服している。75歳時に急性心筋梗塞のため冠動脈ステントを留置されている。意識は清明。身長154cm、体重48kg。体温37.0℃。脈拍92/分、整。血圧108/58mmHg。尿所見:比重1.020、蛋白(±)、潜血(―)、尿中Na 15mEq/L。血液所見:赤血球:490万、Hb 14.0g/dL、Ht 43%、白血球6,300、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン4.2g/dL、AST 35U/L、ALT 40U/L、CK 4,320U/L(基準30〜140)、尿素窒素38mg/dL、クレアチニン2.5mg/dL、尿酸7.5mg/dL、Na 140mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 104mEq/L。

最初に行う輸液の組成として最も適切なのはどれか。

5%ブドウ糖
Na$^+$ 35mEq/L、K$^+$ 20mEq/L、Cl$^-$ 35mEq/L
Na$^+$ 84mEq/L、K$^+$ 20mEq/L、Cl$^-$ 66mEq/L
Na$^+$ 90mEq/L, K$^+$ 0mEq/L、Cl$^-$ 70mEq/L
Na$^+$ 154mEq/L、濃グリセリン、フルクトース配合液

解答: d

112D28の解説

高齢女性の熱中症。CK高値であり、横紋筋融解症も合併している。Kが5.0mEq/Lと上昇しており、クレアチニンも高値だ。カリウムが捨てられない状態と考えられ、カリウムフリーの輸液を選択することとなる。
a Naなど電解質が含まれておらず、不適切。
b いわゆる「3号液」。Kが含まれており、不適切。
c いわゆる「2号液」。Kが含まれており、不適切。
d 正しい。電解質も含まれており、かつKは含まれていない。適正だ。いわゆる「1号液」に該当する。
e グリセリン・フルクトース配合液は浸透圧利尿効果をもつ。そのため、頭蓋内圧亢進時などに有用。

正答率:74%

テーマ:熱中症患者への適切な輸液組成

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