112B39

2歳の男児。発熱と呼吸困難のため救急車で搬入された。本日朝、38.8℃の発熱と呼吸困難とに両親が気付き救急車を要請した。来院時の体温39.8℃。心拍数120/分、整。呼吸数28/分。SpO2 96%(リザーバー付マスク5L/分酸素投与下)。毛細血管再充満時間は1秒と正常である。呼吸困難は仰臥位で増悪し、座位でやや軽快する。下顎を上げた姿勢で努力呼吸を認める。嚥下が困難で唾液を飲み込むことができない。心音に異常を認めない。呼吸音では、吸気時に喘鳴と肋間窩の陥入とを認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。

最も優先すべきなのはどれか。

喉頭内視鏡での気管挿管
呼気時の胸部エックス線撮影
舌圧子を用いた咽頭の視診
エピネフリン吸入
動脈血ガス分析

解答: a

112B39の解説

幼児の発熱と呼吸困難。努力呼吸があり、吸気時の喘鳴と肋間窩陥入(補助筋を用いた努力呼吸)がみられることから一刻を争う状況であることがみてとれる。嚥下困難と唾液が飲めない、といった記載から急性喉頭蓋炎を考える。
a 正しい。まずは気道確保が急がれる。喉頭内視鏡で喉頭蓋の観察も行いつつ、気管挿管を狙う。
b 異物誤嚥時に考慮される検査。
c 喉頭蓋は舌圧子を用いた診察ではそもそも観察できない。不用意な刺激を与えてしまうため控えたい。
d β刺激作用により気管支が拡張されるが、喉頭蓋の腫脹には無効。
  ※国試では「アドレナリン」という表記が一般的。「エピネフリン」も同じ意味だが、珍しい記載であった。
e SpO2の値から酸素状態は推し量ることができる。これ以上のラボデータの収集よりもまずは気道確保を優先しよう。

正答率:88%

テーマ:急性喉頭蓋炎への対応で優先すべきこと

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