112A74

32歳の女性。乾性咳嗽を主訴に来院した。5年前から毎年、2月から5月までの間に乾性咳嗽を自覚していたが、今年も2月から同様の症状が出現したため受診した。アレルギー性鼻炎の既往がある。喫煙歴はない。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧120/60mmHg。呼吸数16/分。SpO2 99%(room air)。呼吸音に異常を認めない。胸部エックス線写真で異常を認めない。

次に行うべき検査として適切なのはどれか。2つ選べ。

胸部CT
気管支鏡検査
動脈血ガス分析
スパイロメトリ
喀痰中好酸球比率算定

解答: d,e

112A74の解説

壮年女性の乾性咳嗽。毎年2〜5月の出現であり、アレルギー性鼻炎の既往があることから、いわゆる「花粉症」に伴う咳嗽の可能性が高い。花粉症では鼻汁の産生亢進と、それによる後鼻漏により気道が刺激され、咳嗽をみることがある。
a CTで咳嗽の細かな原因まで見定めていくことは難しい。
b 気管支内の目に見える粗大な病変が原因になっているとは考えにくい。
c SpO2は保たれており、酸素状態や酸塩基平衡を評価する必要性は乏しい。
d 正しい。乾性咳嗽の鑑別として肺病変も考慮に入れたい。また、I型アレルギーの背景があることから気管支喘息や咳喘息も除外する。閉塞性や拘束性の呼吸障害を呈していないか、見極めよう。
e 正しい。I型アレルギーの背景が考えられ、喀痰中の好酸球比率が上昇していることを示せるとよい。

正答率:67%

テーマ:乾性咳嗽の鑑別に有用な検査

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