112A73

53歳の男性。3か月前から持続する上腹部痛を主訴に来院した。25歳ごろからアルコールを多飲している。上腹部に圧痛を認める。血液生化学所見:総ビリルビン1.0mg/dL、AST 84U/L、ALT 53U/L、ALP 258U/L(基準115〜359)、γ-GTP 110U/L(基準8〜50)、アミラーゼ215U/L(基準37〜160)、空腹時血糖278mg/dL、HbA1c 9.6%(基準4.6〜6.2)、CA19-9 32U/mL(基準37以下)。腹部CT(A)とMRCP(B)とを別に示す。

この患者への指導として適切なのはどれか。2つ選べ。

禁酒
水分制限
脂肪制限食
蛋白制限食
高エネルギー食

解答: a,c

112A73の解説

中年男性の上腹部痛。アルコール多飲歴があり、アミラーゼは軽度上昇。画像ではAにて膵石と膵の萎縮が、Bにて膵管の数珠状拡張が指摘可能。慢性膵炎の診断。なお、慢性膵炎によりインスリン分泌能が低下していることによるのであろう、空腹時血糖とHbA1cが上昇しており、糖尿病の診断も可能。
a 正しい。アルコールは慢性膵炎の最大のリスクである。
b 糖尿病患者であり、血漿浸透圧が高値になりやすい。水分摂取はどちらかといえば励行する。
c 正しい。慢性膵炎では酵素分泌の低下により脂肪吸収がしにくくなる。脂肪を負荷することでさらに膵へ負担がかかってしまうため、これは制限したい。
d たしかに膵からは蛋白を分解する酵素も分泌されているため、蛋白負荷すると膵へ負担をかけてしまう気もする。が、蛋白は臓器を作る土台となる重要な成分であり、萎縮してしまっている膵を始め、諸臓器の材料となるものである。ゆえに制限はしない。
e 糖尿病患者であり、エネルギーは抑えるべきだ。

正答率:83%

テーマ:慢性膵炎への指導

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