112A72

82歳の女性。筋肉痛を主訴に来院した。2週間前の朝に、急に頸部、肩甲部、腰部、殿部および大腿部に筋肉痛とこわばりを自覚し、起き上がりが困難になり、症状が持続するため受診した。意識は清明。体温37.8℃。脈拍84/分、整。血圧148/86mmHg。尿所見:蛋白(-)、潜血(-)。赤沈110mm/1時間。血液所見:赤血球312万、Hb 9.8g/dL、Ht 30%、白血球10,200、血小板43万。血液生化学所見:総蛋白5.9g/dL、AST 29U/L、ALT 28U/L、LD 321U/L(基準176〜353)、CK 38U/L(基準30〜140)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。免疫血清学所見:CRP 15mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体陰性。

この患者で注意すべき合併症を示唆する症状はどれか。2つ選べ。

複視
盗汗
頭痛
網状皮斑
Raynaud現象

解答: a,c

112A72の解説

高齢女性の筋肉痛。筋原性疾患であれば通常CKが上昇するはずだが、本患者では基準値内である。発熱や赤沈亢進、CRP上昇など炎症所見はみられているも、リウマトイド因子や抗核抗体は陰性である。これらの情報から、リウマチ性多発筋痛症〈PMR〉を考える。PMRには巨細胞性動脈炎〈側頭動脈炎〉を合併しやすいことを知っていれば解答はしやすいだろう。
a 正しい。側頭動脈炎の症状として、複視や視力障害といった眼の症状がみられる。
b 悪性リンパ腫などでみられる。
c 正しい。側頭動脈炎の症状として、頭痛がみられる。
d 血管炎や抗リン脂質抗体症候群〈APS〉でみられる。
e 全身性硬化症〈SSc〉などでみられる。

正答率:65%

テーマ:リウマチ性多発筋痛症〈PMR〉で注意すべき合併症を示唆する症状

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