112A24

69歳の男性。全身倦怠感と食欲不振とを主訴に来院した。2年前に進行胃癌のため胃全摘術を受けた。その後受診をしなかったが、3か月前から倦怠感を自覚し、最近食欲不振が増強して食事摂取量が平常時の1/3以下となったため、不安になり受診した。身長170cm、体重45kg。体温36.2℃。脈拍80/分、整。血圧130/70mmHg。呼吸数14/分。胸部エックス線写真で多発肺転移を認め、腹部CT及び超音波検査で多発肝転移と軽度の腹水貯留とを認めた。悪心、嘔吐、呼吸困難および疼痛を認めず、患者と家族は在宅医療を希望している。

今後の方針として適切なのはどれか。

外科的切除
抗癌化学療法
在宅酸素療法
在宅静脈栄養
ホスピス入院

解答: d

112A24の解説

多発転移を伴う末期胃癌の69歳男性。在宅医療を希望する際の治療方針を考える。
a・b これらは積極的治療である。患者とその家族から在宅医療の希望があるということは積極的な治療は望まないということである。これらの選択肢は患者家族の意向を無視することになるため不適切。また、抗癌化学療法(b)の副作用には悪心嘔吐を伴うものが多く、現在食欲不振を訴えている患者に投与すれば余計に食べられなくなりQOLを下げてしまう。
c 呼吸困難はなく、呼吸回数も正常範囲であるため在宅酸素療法は不要である。
d 正しい。食事摂取量は平常時の1/3であることから、足りない栄養を他で補う必要がある。患者と家族が在宅医療を希望していることから、在宅静脈栄養を検討する。
e 在宅医療を希望しているため、ホスピスへ入院させるのは不適切。患者家族の意向を無視してしまっている。

正答率:80%

テーマ:在宅医療を希望する胃癌の多発肝転移患者への方針

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