112A25

25歳の男性。歩行障害を主訴に来院した。13歳ごろから、重いカバンを持ったときやタオルを強く絞ったときに手を離しにくいことに気付いていたが、運動は問題なくできていた。20歳ごろからペットボトルのふたを開けにくいと感じるようになった。半年前から歩き方がおかしいと周囲から指摘されるようになったため受診した。父方の従兄弟に同様の症状を示す者がいる。意識は清明。身長172cm、体重62kg。体温36.2℃。脈拍92/分、整。血圧112/72mmHg。呼吸数24/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側の側頭筋と胸鎖乳突筋は軽度萎縮している。両下肢遠位筋は萎縮しており、筋力は徒手筋力テストで3である。四肢の腱反射は低下しており、病的反射を認めない。血液所見:赤血球493万、Hb 14.2g/dL、Ht 44%、白血球5,900、血小板16万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン4.1g/dL、AST 40U/L、ALT49U/L、LD 282U/L(基準176〜353)、CK 528U/L(基準30〜140)、血糖103mg/dL、HbA1c 6.2%(基準4.6〜6.2)、Na 142mEq/L、K4.0mEq/L、Cl 103mEq/L。CRP 0.2mg/dL。この患者の母指球をハンマーで叩打する前後の写真を別に示す。叩打後、この肢位が数秒間持続した。

この所見はどれか。

猿手
テタニー
ジストニア
ミオトニア
カタレプシー

解答: d

112A25の解説

歩行障害を主訴に来院した若年男性。「手を離しにくい」という現象はグリップミオトニアであり、画像でも叩打後に母指球筋の収縮がみられている(叩打ミオトニア)。家族歴や遠位筋優位の筋力低下、CK上昇、耐糖能障害(まだ糖尿病の診断がつくほど重症ではないが)といった情報から筋強直性ジストロフィーを疑う。
a 正中神経障害により出現する。
b 低Ca血症や低Mg血症により出現する。
c 不随意運動の1つ。109G21など参照のこと。
d 正しい。みられているのはミオトニアである。
e 精神科領域の疾患である、緊張病症候群で出現する。常同姿勢を取り続ける現象だ。

正答率:86%

テーマ:ミオトニアの診断(筋強直性ジストロフィー疑い)

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