112A19

69歳の男性。歩行困難を主訴に来院した。1か月前から歩行が不安定となり、徐々に悪化してきたため受診した。9年前に胃癌で胃全摘術を受けた。意識は清明。身長155cm、体重44kg。体温36.1℃。脈拍60/分、整。血圧106/58mmHg。呼吸数18/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球250万、Hb 9.4g/dL、Ht 28%、白血球4,400、血小板8.7万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン4.4g/dL、総ビリルビン1.5mg/dL、AST 25U/L、ALT 20U/L、LD 332U/L(基準176〜353)、γ-GTP 13U/L(基準8〜50)、CK 48U/L(基準30〜140)、尿素窒素23mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、尿酸5.1mg/dL、血糖103mg/dL、総コレステロール170mg/dL、トリグリセリド72mg/dL、Na 138mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 101mEq/L、ビタミンB12 75pg/mL(基準250〜950)、CEA 2.0ng/mL(基準5.0以下)、CA19-9 2.3U/mL(基準37以下)。CRP 0.1mg/dL。頸椎MRIのT2強調像を別に示す。

この患者で予想される症状はどれか。

暗い所でふらつく。
片足立ちがしにくい。
尿意を我慢できない。
風呂の温度が分かりにくい。
歩き始めの一歩が出にくい。

解答: a

112A19の解説

高齢男性の歩行困難。9年前の胃全摘術既往が大きなヒントとなる。ビタミンB12が低下しており、画像では後索部分に高信号がみられる。亜急性連合性脊髄変性症〈亜急性脊髄連合変性症〉による深部覚障害と考えられる。
a 正しい。視覚による補正が困難となり、ふらつきが出現する。
b 健常人と比べれば確かに片足立ちはしにくいだろう。が、aの選択肢と対比するに視覚情報があればバランスは比較的保たれると言いたいのだろう。正答とはしない。
c 自律神経障害(脊髄では側角の障害による)はみられない。
d 温痛覚障害(脊髄では側索前方の障害による)はみられない。
e Parkinsonismを考えさせる症状だ。

正答率:64%

テーマ:亜急性連合性脊髄変性症〈SCDC〉の症状

フォーラムへ投稿

関連トピック