112A17

62歳の男性。胸部食道癌の術後に人工呼吸から離脱できず、アンピシリンの投与を受けていた。術後3日目の朝、39.1℃の発熱と喀痰増加がみられ、胸部エックス線写真で右下肺野に新たな浸潤影を認めた。血液および喀痰培養を行い抗菌薬を変更したが、術後4日目になっても39℃を超える熱が持続している。培養検査の結果はまだ判明していない。

この時点の対応として適切でないのはどれか。

上体を30度挙上する。
ドレーン排液の性状を確認する。
気管チューブのカフ圧を確認する。
抗菌薬を再度変更する。
創部の状態を確認する。

解答: d

112A17の解説

胸部食道癌の術後にみられた肺炎に対し、昨日から抗菌薬変更がされている高齢男性。高熱が持続しており、培養検査を発注しているが未だ結果が判明していない状況である。
a 喀痰が増加しているため、上体をやや起こした状況が本人にとって楽である。
b・e 排液の性状や創部の状態は定期的に確認したい。
c 気管チューブの先端についている風船状の構造がカフだ。ここへ空気を注入して膨らませ、送気したガスのリーク防止や誤嚥の防止を図る。カフ圧は20〜30cmH2Oで維持するのが望ましい。そのため、定期的にカフ圧が適切か、の確認も行うこととなる。
d 誤り。抗菌薬を変更してたった1日しか経っておらず、培養の結果も出ていない現時点で再度変更する意義は乏しい。

正答率:90%

テーマ:肺炎患者への臨床的対応

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