111H31

次の文を読み、31、32の問いに答えよ。

76歳の男性。左上下肢が動かなくなったため救急車で搬入された。

現病歴:朝起床時に体が何となく重かったので、朝食を摂らず約2時間ベッドで休んでいた。トイレに起き上がろうとしたところ、左手で体を支えられないことに気付いた。左足も動きが悪いため、同居する妻が救急車を要請した。

既往歴:60歳から高血圧症で内服治療中。

生活歴:喫煙は20本/日を55年間。飲酒は機会飲酒。

家族歴:特記すべきことはない。

現 症:意識は清明。身長160cm、体重55kg。体温37.2℃。心拍数80/分、整。血圧184/104mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(リザーバー付マスク5L/分酸素投与下)。左上下肢に弛緩性不全麻痺と感覚低下とを認める。構語障害を認める。

検査所見:血液所見:赤血球491万、Hb 15.2g/dL、Ht 46%、白血球6,300、血小板26万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、AST 26U/L、ALT 28U/L、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、トリグリセリド240mg/dL、HDLコレステロール46mg/dL、LDLコレステロール100mg/dL。来院時の頭部MRIの拡散強調像を別に示す。

その後の経過:患者は緊急入院し、薬物治療とともに入院3日目からリハビリテーションが開始された。

退院後の生活に向けて、回復経過を評価する上で最も有用なのはどれか。

しびれ感の強さ
筋力
Dダイマー値
PT-INR
頭部CT

解答: b

111H31の解説

突然の左半身麻痺で搬送された76歳男性。来院時の拡散強調画像にて右内包後脚周囲に高信号域を認め急性期脳梗塞の診断である。退院へ向けてのリハビリテーションでは自宅生活で何が重要となるか、を考える。
a しびれはなかなか治りにくいし、強さは主観的なものなので評価しても退院後の生活に役立つとは言えない。
b 正しい。ADLに直接関係する事項である。また、今回の脳梗塞は範囲としても小さく、不全麻痺であるのでリハビリテーションにより改善する見込みがある。
c~e すべて医療機関での検査結果であり、退院後の生活には影響しない。

正答率:85%

テーマ:【長文1/2】脳梗塞の回復経過を評価するのに有用な情報

フォーラムへ投稿

関連トピック