111G52

88歳の女性。発熱、咳、痰および呼吸困難を主訴に来院し、胸部エックス線写真と胸部CTとで特発性間質性肺炎の急性増悪と気道感染症の合併が疑われて入院した。症状は抗菌薬と副腎皮質ステロイドとの投与を受けて軽快した。入院後10日に、体温37℃台の発熱があり、咳嗽も増悪した。胸部エックス線写真で両側肺野の浸潤影と網状影とを認めたため抗菌薬を変更し、副腎皮質ステロイドの投与を続けたが奏効せず、呼吸不全で入院後23日に死亡した。死因や肺病変の診断を目的に病理解剖を行った。病理解剖の肺組織のH-E染色標本(A、B)を別に示す。

診断として考えられるのはどれか。

肺結核症
肺ムーコル症
ニューモシスチス肺炎
肺クリプトコックス症
サイトメガロウイルス肺炎

解答: e

111G52の解説

特発性間質性肺炎の背景をもつ高齢女性。Aでは炎症細胞の非特異的な浸潤がみられ、Bでは封入体を伴う細胞を指摘できる。副腎皮質ステロイドの投与中であったことから、サイトメガロウイルス肺炎にかかり死亡に至った症例と考えられる。
a 肺結核症ではZiehl-Neelsen染色で病原体を指摘する。
b 肺ムーコル症では大型の菌糸がみられる。
c ニューモシスチス肺炎ではGrocott染色で病原体を指摘する。
d 肺クリプトコックス症では墨汁染色にて莢膜を持つ病原体を指摘する。
e 正しい。上記の通り。
107E46のプール問題。

正答率:90%

テーマ:サイトメガロウイルス肺炎の診断

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