111G51

9か月の乳児。嘔吐と下痢とを主訴に両親に連れられて来院した。2日前の乳児健康診査の帰宅後から機嫌が悪かった。昨日からは嘔吐と頻回の下痢が出現し、尿量も減少しているという。体重7,800g。体温37.0℃。心拍数120/分、整。呼吸数40/分。毛細血管再充満時間3秒と延長している。顔色は不良で、腹部皮膚のツルゴールは低下している。尿所見:比重1.035、蛋白1+、ケトン体1+。血液所見:赤血球420万、白血球5,000、血小板18万。血液生化学所見:尿素窒素26mg/dL、クレアチニン0.3mg/dL、血糖78mg/dL、Na 132mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 103mEq/L。CRP 0.8mg/dL。

この患児の脱水状態の重症度判定に最も適切なのはどれか。

心拍数
血清Na値
1日の尿量
血清浸透圧
体重減少の程度

解答: e

111G51の解説

9か月乳児の嘔吐と下痢。尿量が減少しており、毛細血管再充満時間が延長している。皮膚ツルゴールの低下や濃縮尿、BUN/Cr比の上昇、といった所見も合わせ脱水症と分かる。Naが132mEq/Lであることから等張性脱水である(131〜149が等張性)。
a 脱水時には心拍数が上昇することが多いが、重症度とは関係しない(むしろ重症例では徐脈となることもある)。
b 低張性、等張性、高張性の分類には有効だが、重症度とは関係しない。
c 循環動態のよい指標となるが、1日尿量の測定には労力を要する。まさに脱水を呈している児には現実的ではない。
d 血液濃縮の度合を判定するには有用だが、重症度とは関係しない。
e 正しい。乳児では5%未満の体重減少で軽症、5〜10%で中等症、10%以上で重症とされる。
※96F20のプール問題。

正答率:84%

テーマ:9か月児の脱水状態の重症度判定に適切な項目

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