107E46

88歳の女性。発熱、咳、痰および呼吸困難を主訴に来院した。胸部エックス線写真と胸部単純CTとで特発性間質性肺炎の急性増悪に気道感染症の合併が疑われ、入院した。抗菌薬と副腎皮質ステロイドとの投与を受け、軽快してきた。入院後10日に、体温37℃台の発熱があり、咳嗽も増悪した。胸部エックス線写真で両側肺野の浸潤影と網状影とを認めたため抗菌薬を変更し、副腎皮質ステロイドの投与を続けたが奏効せず、呼吸不全で入院後23日に死亡した。死因や肺病変の診断を目的に病理解剖を行った。病理解剖の肺組織のH-E染色標本(A、B)を別に示す。
診断として考えられるのはどれか。
肺結核症
肺ムコール症
ニューモシスチス肺炎
肺クリプトコックス症
サイトメガロウイルス肺炎

解答: e

107E46の解説

画像Aでは炎症細胞の非特異的な浸潤がみられ、画像Bでは画像中央やや左側に封入体を伴う細胞を指摘できる。副腎皮質ステロイドの投与中であったことから、サイトメガロウイルス肺炎にかかり死亡に至った症例と考えられる。
a 肺結核症ではZiehl-Neelsen染色で病原体を指摘する。
b 肺ムコール症では大型の菌糸がみられる。
c ニューモシスチス肺炎ではGrocott染色で病原体を指摘する。
d 肺クリプトコックス症では墨汁染色にて莢膜を持つ病原体を指摘する。
e 正しい。上記の通り。

正答率:92%

テーマ:サイトメガロウイルス肺炎の診断

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