111D37

35歳の女性。血痰と発熱とを主訴に来院した。約2週間前から咳嗽と発熱とが出現し、昨日から血痰と呼吸困難とを自覚するようになった。6年前から甲状腺機能亢進症でプロピルチオウラシルを内服している。体温38.3℃。脈拍104/分、整。血圧128/72mmHg。呼吸数20/分。SpO2 93%(room air)。眼瞼結膜は貧血様である。背部にfine cracklesを聴取する。血液所見:Hb 6.2g/dL。CRP 3.6mg/dL。胸部エックス線写真(A)と肺野条件の胸部CT(B、C)とを別に示す。喀痰の塗抹、培養検査は一般細菌、抗酸菌ともに陰性で、結核菌のPCR検査も陰性である。気管支肺胞洗浄液は鮮紅色で、へモジデリン貪食マクロファージを認める。

現在の症状に最も関連するのはどれか。

抗Jo-1抗体
MPO-ANCA
抗SS-A抗体
抗TSH受容体抗体
抗カルジオリピン抗体

解答: b

111D37の解説

若年女性の血痰と発熱。画像では肺野のスリガラス影や網状影がみられている。気管支肺胞洗浄液でヘモジデリン貪食マクロファージがみられることから肺胞出血が起きていることは分かるのだが、ここから先が難しい。実はプロピオチオウラシルの副作用によりANCA関連血管炎が惹起されるという事実が存在する。107D8-aで一般問題として出題あり。
a 皮膚筋炎や多発性筋炎でみられる抗体。
b 正しい。上記の通り。「なんとなく血管炎っぽい」ということで選べた受験生が多かったようだ。
c Sjögren症候群でみられる抗体。
d Basedow病でみられる抗体。
e 抗リン脂質抗体症候群〈APS〉でみられる抗体。

正答率:76%

テーマ:プロピオチオウラシルの副作用によるMPO-ANCA血管炎

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